このブログでは、「ビジネス書研究班」のメンバーお勧めのビジネス書を書評形式で紹介していきます。今回は岩ちゃんの書評です。

ビジネス大学30分 マーケティング [Kindle版]
加治慶光+山本和隆(著)
ライトワークス(監修)
ユナイテッド・ブックス(発行)
2013-07-30

  
先日読んだ「ドコモ1000日の挑戦」では、「お客さま起点のマーケティングの発想を取り入れること」がドコモの課題であった。そもそも「マーケティング」とは何なのか、あらためて理解したいと考えていたところ、「ビジネス大学30分 マーケティング」という本に出会った。

本書によると、アメリカのマーケティング協会ではマーケティングを次のように定義しているということである。「顧客に対して価値を創造・伝達・提供する。また、顧客との関係を管理する。それによって企業とその利害関係者に利益をもたらす。このような組織の機能とプロセスをマーケティングという。」また、一言で表すと「売れる仕組みをつくること」ということである。

私は、マーケティングという言葉に市場調査(マーケティング・リサーチ)のイメージを持っていたが、これはマーケティングのごく一部であり、マーケティングとは仕組みづくりであることが理解できた。

では、この仕組みをどのようにつくるのか、「マーケティングの立案プロセス」(図1参照)について説明したい。まずは、①SWOT、バリューチェーンといったフレームワークを用いた環境分析を行い、「こうすれば売れる」という事業機会を発見する。

marketing01

 次に、この事業機会を明確にしていくため、②市場を同質的ないくつかの集団(セグメント)に分解する。これをセグメンテーション(市場細分化)という。(図2参照)

marketing02

次に、③この分解した市場のセグメントのどこを狙うか決める。つまり、ターゲットにする顧客を決める。これをターゲティングという。

次に、④このターゲット・セグメントに対して他社との違いを明らかにする。これをポジショニングという。

最後に、ビジネスとして展開していくため、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4Pについて具体策を決める。これをマーケティング・ミックスという。

また、この4Pを顧客の立場で見たものに、4Cがある。4Cは、顧客にとっての問題解決(Customer solution)、顧客の負担する費用(Customer cost)、入手のしやすさ(Convenience)、サプライヤーとのコミュニケーション(Communication)の4つである。

以上、「マーケティングの立案プロセス」について述べたが、まとめると、環境分析により事業機会を発見し、市場を細分化したうえで、ターゲット顧客および他社との違いを明らかにし、具体的な4P(または4C)を決めていくことが基本的な流れである。特に市場細分化は、いかに適切な軸を見つけることができるかが重要であることが理解できた。中小企業にとって他社との差別化は生き残っていくための重要なポイントであるため、今回学んだことを実際に使いこなせるように今後トレーニングをしていきたい。

なお、本書は、具体的な事例が多く、今回紹介した内容のほかに「ブランド」、「顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)」、「営業戦略」についても書かれており、マーケティングを幅広く理解するのに最適な一冊であった。