こんにちは、《 ささどん 》です。


3月分の「紹介する本」は以下の通りです。
理屈では分かっていても実践が難しいんですよね。


岩ちゃん シンプルに考える

MASA  スタンフォードのストレスを力に変える教科書
○ささどん オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件

 

それでは、メンバー各人が「紹介する本」をご覧ください。

〇岩ちゃん 
シンプルに考える

シンプルに考える
森川亮
ダイヤモンド社
2015-05-29






コメント

未来予測について調べているときに、雑誌「日経ビジネスアソシエ」でLINE元社長 森川氏の記事を読んだ。「人間の本質は変わらない」といったことが書かれており、森川氏の考え方についてもっと詳しく知りたいと思った。
 森川氏は、「ユーザーが本当に求めているものを提供し続けること」、すなわち「ヒット商品をつくり続けること」を本質としており、これに全力集中し、これ以外のことは極力なくしているということである。このことに共感できる社員を集めており、そのような人は自ら学んでいくため、育成も不要ということである。
 本の表紙に「計画はいらない」とあるが、計画があると社員がそれに縛られてしまうため、実際には計画はあるが、社内に公表していないということである。また、「未来はわからない」、だから「どこよりも速く、最高のクオリティのプロダクトを出す」といったことも書かれていた。
 本質を定め、そこに全力集中するという考えは理解できたので、自分自身もそのような軸となるような考えを持っていきたい。


〇MASA
スタンフォードのストレスを力に変える教科書

スタンフォードのストレスを力に変える教科書
ケリー・マクゴニガル
大和書房
2015-10-22


コメント

本書は、スタンフォード大学の健康心理学者ケリー・マクゴニガル博士の「スタンフォードの自分を変える教室」に続く著作です。ベストセラーになった前著を読了していたことが本書を手に取る動機につながりました。
 本書は、大きく二部構成となっています。まず、パート1「ストレスを見直す」では、ストレスとはいったい何なのか、そして、本当に良くないものなのかを検証しています。次いで、パート2「ストレスを力に変える」においては、ストレスとの向き合い方が呈示されています。
 多くのことに気付かされる一冊でした。まず、「ストレス」という定義が漠然としていることです。「ストレス」として一括りにされている内容は、信号待ちのイライラから、家族を失った悲嘆、戦火に巻き込まれて生命の危機に直面した場合など様々であることです。
 本書における「必ずしもストレスは悪いものではない」という主張も説得力あるものでした。スピーチ直前の緊張や、スポーツ選手の集中力、病気の告知によってもたらされる覚悟、幼児期に母親と引き離された経験による人間的な成長など、脳がストレスに適応しようとする自然な働きは、注意力を高め、行動を促すのです。科学的な解説にも納得出来ました。
 本書においては「心のレジリエンス」という表現が用いられています。「レジリエンス」は組織や集団の在り方としても提唱されています。企業経営に当てはめた場合、厳しい経営環境や競合企業との競争の激しさには活力や敵と戦う強さを身に付ける効果もあるのだということになるのでしょうか。「平和ぼけ」や「ゆでがえる」といった状態を回避するためには何が必要なのだろうかと考えさせられました。

*本書より抜粋:ストレスホルモンの効果
【コルチゾール】糖代謝や脂肪代謝を助け、体と脳がエネルギーを使いやすい状態にする。また、消化や生殖や成長など、ストレス時にはあまり重要でない生物的機能を抑える働きがある。

【DHEA(デヒドエピロアンドロス)】神経ステロイドのひとつで、脳の成長を助ける男性ホルモン。テストステロンが、運動によって体が成長するのを助けるのと同様に、DHEAはストレスの経験を通じて脳が成長するのを助ける働きがある。

【オキシトシン】神経ホルモンとして脳の社会的本能を調整するという働きがある。ストレスを感じると、多くの場合、人とのつながりを求める気持ちが強くなります。また、勇気をもたらす脳内化学物質でもあるのです。


〇ささどん 
オープン&クローズ戦略  日本企業再興の条件

オープン&クローズ戦略とは自社のコア領域(クローズ)と他社に委ねる領域(オープン)とをつなぐ境界に知的財産を集中させ、境界だけを他社へ公開し自由に使わせることでサプライチェーンに向けて強い影響力(伸びゆく手)を持たせる戦略である。
 製造業のグローバル化、製品のソフトウェアリッチ化が進行する産業で有効に機能し、成功例としてアップル、インテル、クァルコム等の事例を紹介している。サプライチェーン側の成功例として台湾の減税・免税政策を紹介し、半導体産業において日本は技術ではなく、ビジネス制度設計で負けたと指摘する。
 本戦略はコアとなる技術領域があることが前提となる。コア技術がオープン市場に受け入れられるかを予測することは難しく、そこでサプライチェーンを構築できてもコア技術が陳腐化しないように技術革新を続ける必要がある。成功のためには戦略立案時の情報収集が重要であろう。その点では市場規模の大きいアメリカが優位な戦略と言える。
 著者は「古き良き日のものづくりへ回帰してはならない」とし、日本もオープン&クローズ戦略により新興国の成長を自国の雇用と経済成長へ結びつける仕組みを構築すべきであると提言する。「古き良き日のものづくり」では共存共栄の意識が強かったが、本戦略は独り勝ちの傾向が強い。日本の国民性にマッチした日本型オープン&クローズ戦略が必要である。